魔女に恋した魔物狩人


  1.  ジャスティス


オレは泥でぬかるんだ道を歩きながら思った。なんでオレにはロクでもない親しかいないんだ。ついさっきババア(母の事だけど)にケンカ売って家出した所だった。
オレの母親は魔女で、魔女裁判の生き残りだ。だからって一日中魔法のことばっかりで飯も作らねぇ母親っているか?オレはそのおかげで料理が上達しちまった。全く嬉しくねぇけどさ。親父はこの辺りじゃ有名な魔物狩人で、良くは知らないがあちこちを旅しながら魔物を狩っているらしい、おかげで家に帰ってきやしない。オレはそのおかげで畑を耕す目にあってるんだぜ。児童虐待じゃねぇのかよ。
オレの隣りでクライブが楽しそうに笑いながらオレの肩を叩いた。銀色のさらさらストレートの髪が揺れてる。アイツの着てる赤いコートはオレがおそろいで着たらカッコいいかなと思って何となくあげただけなんだけど、アイツはあんまり喜んでねぇみたいだった。青い瞳が怪しく光った。こういう時は大体、コイツが嫌な事を考えてるんだよな。オレがおそろいにしようと思ってあげたバンダナと十字架の黒いリストバンドもあんまり喜んでなかった。仲良くしたいのにあんまり仲良くしたくないみたいで、話をしてくれない。
オレと全く同じ顔をした双子の兄弟だって聞いてるけど、本当かどうかなんか知らない。クライブはオレの事を兄貴とかって呼んでくれた事もなかった。小さい時にアイツといた記憶もないんだけど、オレが体にいたヴァンパイアの血を捨てる呪文(ババアが魔女だからか家に会った本に書いてた)をつぶやいた時の記憶もない。っていうか、その後ろの記憶がなんにもない。
オレはクライブを見た。クライブは
「ジャスティス、家に帰った方がいいぜ」
と言ってオレの頭をぽんぽんと撫でた。オレは顔を背けて
「嫌だ、オレは絶対帰らないからな」
と言ってクライブの手を振り払った。
「またそんなこと言って、どうせすぐにベッドが恋しくなるって、お前には魔物狩人なんて無理なんだよ。」
「親父に出来てオレに出来ないはずがない」
オレはそう言って家から持ってきた(正しくは盗んできた)剣を握りしめた。オレには少し重たくて使いにくいから今頃自分専用の剣が恋しくなった。
「重いんだろ?しょうがねぇから持ってやってもいいぜ」
「うるせえ、これぐらい自分で持つ」
オレはそう言って剣を引っ張った。重くてだんだん持って歩くのがつらくなってきた。
「ジャスティス、オレはだなぁ、バカにしてるんじゃねぇんだから大人しく渡せよ」
「嫌だ、自分で持てる」
「意地張るなって」
クライブはそう言ってオレの頭をぽんぽんと撫でて笑った。オレがくすぐったがりなのをいいことにオレの脇腹をくすぐって剣を取り上げた。
「ジャスティスが剣を持ってると危なっかしいんだよな〜」
クライブはそう言ってオレの頭をぽんぽんと撫でた。
オレは黙って剣に手を伸ばしたけど、頭を撫でられながら、大人しくクライブの後ろについて歩いた。オレは本当にクライブの兄貴なんだろうか、時々心配になる。
それに、人間離れしすぎてる。オレは夜中に目を覚ますときがあるけど、窓が開いてて、隣りのベッドにはクライブがいなかったりして怖くなることがしょっちゅうだけど、アイツはすぐに帰ってきてオレをベッドに押し戻して寝かしつける。いつもどこに行ってたのか分からないけど、アイツは心配するなって言うだけだ。
クライブはオレが大人しくついて歩いてるのに気がついて
「なんだよ、そんなに怒らなくてもいいだろ」
と言って、コートの下からオレのいつも使ってる剣を出して
「こっちの方がいいだろ?」
と言ってにっこりと笑った。
「クライブ、お前一体いつの間に?」
「家出直前にジャスティスがわざわざ重い方の剣を持ち出そうとしてるのを見てだけど。」
クライブはそう言って笑うと剣を握った。
しばらく行くと、オレは捨て犬を見つけて立ち止まった。クライブがオレを見下ろして
「何やってんだよジャスティス。」
と言ってオレから犬を引ったくった。オレはびっくりして
「連れてっていいだろ?」
とクライブを見て言った。クライブは捨てる気満々で犬を木箱の中に戻して
「駄目だ、犬なんか拾ってどうするんだよ。食えねぇじゃねぇか。」
と言ってオレの頭をげんこつで軽く殴った。
「かわいそうじゃねぇか」
「いいから置いて行け」
クライブはそう言ってオレの腕を引っ張った。
「嫌だ。元々一人で家出してるのについてきたのはお前だろ」
オレはそう言って木箱の方を見た。クライブは嬉しそうに笑って
「分かった、じゃあ置いて行っていいんだな」
と言ってオレの手を放した。
「それは嫌だ」
「じゃあ、大人しく置いて行け」
「嫌だ」
クライブは大きなため息をついてから犬を見た。
「ちゃんと面倒見ろよ」
「おう!」
オレは犬を拾い上げて頭を優しく撫でた。相当寒かったのか、犬は震えていた。
「大丈夫か?」
「犬と会話するなよ」
「いいだろ、犬がかわいそうだ」
「もういい、勝手にしろ」
クライブはそう言って犬を覗き込んだ。
「牛乳なんか飲むと思うか?」
「飲むんじゃねぇか?」
「腹も減ったし、何か食べるか」
クライブはそう言って木の切り株に座り込んで小さな器を出した。オレは犬を撫でてたけど、クライブは牛乳を器に注いで犬の前に出した。
「ほら飲め」
クライブは少し怒ってるみたいだったけど、犬を眺めて
「うん、コイツはどう考えてもジャスティスにそっくりだ。」
と言った。
「そうか?」
「似てる、よし、コイツは今日からジェスティス二世にしよう」
「ややこしいだろ」
「お前は一世だから気にすんな」
クライブはそう言ってジャスティス二世を撫でた。ジャスティス二世は気持ちが良さそうにクライブにくっついてる。
「大人しく言う事を聞く所が一世に似てる」
「その呼び方やめろよ」
「分かったジャスティス、よしよし」
クライブはそう言ってオレの頭を撫でて、パンを出した。小さく切ったパンをオレは牛乳につけてジェスティスに差し出した。
「まだ小さいから無理じゃないか?」
「そんなことないって」
 ジャスティスはオレに気がついたのか、パンをちゃんと食べた。かわいい、めちゃくちゃかわいいぞ。やっぱり動物っていいな〜。
「さてと、早いとこ行こうぜ」
子犬のジャスティスはオレの後ろにくっついてる。まだ小さいから何かあったら心配なんだけど、クライブがそんなことを気にするとは思えない。
「やっぱり、その犬連れて帰った方がいいって。」
「嫌だ。絶対帰らないからな」
「そのチビどうするんだよ。」
「それは・・・」
子犬にしては頭が良さそうだったから、オレはジャスティスに
「お手」
と何となく言ってみた。
「あのな〜」
ジャスティスはあっさりお手をして、しきりにしっぽを振っていた。
「待ってられるんじゃないか?」
「分かった連れてこう」
クライブはそう言って剣を持って立ち上がった。ジャスティスを抱き上げてオレはクライブを追いかけたけど、クライブは突然立ち止まって思いついたかのようにポケットから黒いハンカチを出してジャスティスの頭に巻き付けた。
「うん、これでいい。」
「クライブ?」
「こうしたらお前にそっくりだぜ、ジャスティス」
クライブはそう言ってにっこりと笑った。

魔女が住んでいるらしい、街ではどんな魔物狩人も戻って来ない城を「死の待つ城」と呼んでいた。オレはクライブに引っ張られてなんとか中の方まで来たけど、城が怖くて立ち止まった。
「何やってるんだよ、魔物狩人になるんだろ」
クライブに怒られ、ジャスティスを連れて奥の方まで進んでると、不思議なことに外と違ってきれいな城が建っていた。
「すっげ〜」
「ジャスティス、ココで待ってるんだ。」
クライブはオレの手からジャスティスを取り上げて、近くのベンチの上に乗せた。
「大人しくしてるんだぞ」
クライブはそう言ってジャスティスの頭を撫でてから、城に向かって歩き出した。オレはジャスティスを置いて城に向かった。
中は結構きれいな城だった。オレはドアをノックしようとしたけど、クライブは構わずドアを開けて
「魔物狩人だ」
と言って中に入った。
オレは仕方がなくクライブの後ろを追いかけた。
「おじゃまします」
オレはそうつぶやいて中に入ったけど、クライブの前に階段から降りて、うっかり何かをふんずけて床が抜けた。
「ええ?!」
クライブはため息をついてオレの腕を引っ張った。クライブの背中には大きな漆黒の翼があった。
「クライブ」
「黙ってろよ」
クライブはそう言って羽撃いたけど
「重量オーバーだ。手放すぞ」
「おい、クライブ!!」
「じゃ〜な〜」
クライブは手を放して笑うと、オレは暗い闇の中を落ち始めた。相当高いのか、なかなか下に行き着けなかった。オレは怖くて目を閉じていたけど、地面におもいっきり落ちて気を失った。
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  二章  クライブ


全く、なんで俺がこんなヤツのお守りをしなくちゃいけないんだ。ジャスティスは体が弱いからって問題じゃねぇだろ。
俺は文句をいいながら暗い穴を下へ下へと降りて行った。一番下に来ると、思った通り、ジャスティスは気を失って倒れていた。俺は仕方がないからジャスティスを起こして辺りを見回した。ぐったりとしているジャスティスは頭を打ったのか少し腫れていたけど、何とも無さそうだ。全く、俺の体を返せ。
俺は昔、ジャスティスの体にいたヴァンパイアだ。アイツが小さい頃の記憶がないのは俺が体を占領していたからだ。こんなガキの体から出て行って別の宿主見つけようと思って呪文を唱えたのが間違いだった。ジャスティスは自我を持ち始めたとたん俺を弟だと思い込んだ。おかげで俺はこんなののお守りをするハメになっちまった。
コイツが死んだら俺も死ぬ。コイツはただでさえ体が弱いらしい。俺自身はヴァンパイアの血を持ってるから死にはしないからいいけど、コイツは体が弱いだけじゃなくて、魔女とヴァンパイアと人間と魔物狩人の血を持ってる。たくさんの血を持ちすぎて体がもたないらしくて俺がいないと死んじまうような弱い体をしてる。
俺は仕方がないから面倒を見てたけど、どうやら新しい宿主さえ見つけられればコイツが死んだって俺は大丈夫らしい。コイツが死ぬ前に俺は新しい宿主を見つけたい。なのにコイツはジャマばっかりしやがる。こんなヤツ、兄貴なんて呼べないね。
ジャスティスが気を失ったままでいてくれるといい。ココは死体とか、魔物とかが死んだままで凄いことになってる。こんなとこで目を覚ましたら、アイツは泣き叫ぶだろうな。
俺は辺りを見回して、逃げる場所を探した。ありがたいことに奥の方から誰かが近づいてくる。
「ねえ、本当に誰か落ちたの?」
「落ちたよ、人間だったけど」
「また狩人?」
「さあ」
俺は黙って立ち上がると顔をあげた。
「ね、いたでしょ」
二人の女みたいだったけど、片方は大人しそうな感じで、ジャスティスに気がつくと、心配そうに近づいてきた。
「大変、どこかを打ったの?」
「さあ、俺はどうだっていいもん」
「あなた達、兄弟なんでしょ。」
「いいや、俺はヴァンパイアだ」
「じゃあなんで一緒にいるの?」
「俺はコイツの兄弟ってことになってるからな」
もう片方は悪魔らしい、ジャスティスを見て
「なるほどね、アンタの体なんだ」
と言った。俺は思いついた。
「なあ、コイツ欲しくない?」
「え?」
「俺はコイツがいらないからココから出してくれるんならやるよ。」
女の子は少し動揺していたみたいだったけど、ジャスティスを見て頷いた。
「レイチェル、アンタはあんなヤツをもらってどうするんだよ。」
「話し相手が欲しいからいいと思うけど」
「分かった、レイチェルの好きにしていいよ。」
「やったあ」
 悪魔はあっさり俺の肩を押して来た道を戻ろうとしたけど、運の悪いコトにジャスティスが目を覚まして女の子に気がついた。
「ココどこ?クライブは?」
「あなたってかわいそうな人ね」
女の子はそう言ってジャスティスの頭を軽く撫でた。
「じゃあなジャスティス、その娘と仲良くしろよ」
俺はそう言ってジャスティスに手を振った。
「クライブ?」
「いい加減お前のわがままにはついて行けない。その娘と仲良くしな」
俺はそれだけ言ってジャスティスに背を向けて歩き始めた。
城の中は暖かくてきれいな所だ。アイツには向いてる。
外に出てジャスティス二世が大人しく待ってたので、悪魔にジャスティス二世を差し出した。
「アイツの飼い犬だからやる」
「アンタって恨まれるよ」
「そうかな?」
俺はジャスティス二世に
「いいか、この悪魔がジャスティスの所まで連れて行ってくれるからついて行け」
と言って頭を撫でてから俺はさっさと城を出た。
頭の上には青い空が広がっていた。

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 三章  ジャスティス


オレは途方に暮れていた。まさか弟に置いて行かれるなんて思っていなかったから、ジャスティスがオレにすり寄ってくれても悲しかった。
大きなベッドのある部屋に案内されてからずっと、オレは黙ってジャスティスを撫でていた。窓の外の森に沿った道を楽しそうに歩いてくクライブは、こっちを振り向きもしなかった。
そのうちクライブの姿は見えなくなって、オレはしばらく泣いていた。別に奴隷として売られたみたいじゃなかったけど、オレはクライブのことを信じてたから余計に悲しくなった。
あの女の子は後で来ると言ってたけど、オレはどうしていいか分からなくて、泣くことしか出来なかった。
いつの間にか日が暮れて、オレはジャスティスにほっぺたを舐められていた。
「ジャスティス、くすぐったいって」
コイツは優しいヤツだ。オレは少し元気が出た、ジャスティスは一緒に居てくれるみたいだ。少なくともクライブみたいにオレを売ったりはしないはずだ。
女の子は部屋に入って来て
「初めまして、レイチェルよ」
と言って笑った。ジャスティスはレイチェルを見ていた。オレはジャスティスを抱き上げた。
「この子は?」
「ジャスティスって言うんだ」
レイチェルはジャスティスの頭を撫でてから笑った。
「かわいい、あなたはなんて呼んだらいい?」
「何でもいいよ、ジャスティスっていうんだ」
「同じ名前なのね」
「うん」
レイチェルはオレを見ていた。黄緑色の短い髪が少し揺れた。オレは髪が銀だったから、学校に行ってもかなり虐められた。クライブと一緒に授業をサボってほとんど学校には行かなかった。それでも家で本を読んだりして勉強はしたから生きていく上で困ったことはなかった。
レイチェルは皆とは違う髪の色だったから虐められたりしたのかな?オレはもううんざりだったから、学校には行かなかったし、勉強はある程度できればいいやってくらいにしか考えてなかったんだ。でも、レイチェルは魔女だし、オレなんかよりずっと虐められたのかも。
クライブがなんでオレのことを置いて行ったりするのかが分からなかったけど、きっとオレのコトがジャマだったんだろうな。本当はオレなんかよりもずっと家に居たがらないヤツだったから家出してさっさとどこかに行きたかったんだろうけど、オレがジャマしてたのかもしれない。
 レイチェルは優しい声で、オレを見て
「ねえ、あなたは寂しいの?」
と言った。オレは頷いて
「ちょっとだけ」
と言った。
レイチェルはジャスティスを見てから
「ねえ、記憶を消そうか?」
と言った。やけに真面目な顔で。オレは、びっくりして顔をあげた。クライブのことを忘れられるんならそれでいい。何もいらない。
「そんなこと出来るの?」
「つらそうな顔しなくてすむなら、私がなんとかする」
オレは少し考えた。クライブのことは忘れたい。全部忘れれば、きっと楽になるはずだから。ココで楽しくやっていけるかもしれないし。クライブのことを忘れて、楽しく遊んでいけるのならそれでいいんだから、忘れた方がいいのかもしれない。
「忘れたい、全部忘れたい」
オレはそうつぶやいて、ジャスティスを見た。優しくオレの手にすり寄ってくれてるコイツのことは忘れたくないけど、きっと今よりもいい思い出が出来るハズだって信じるしかない。
レイチェルは頷くと、ジャスティスを抱き上げた。
「この子も忘れたいみたいね。今までいいことがなかったみたい。あなたが拾ってくれたことにとても感謝してるみたいよ。」
ジェスティスの言葉がわかるんだ。理由は分からないけど、ババアも動物と話しが出来た。魔女とか、魔法使いは動物の言葉が分かるんじゃないだろうか。まあ、そんなことはどうだっていいんだけど、どうせ忘れるものなんだし。
「私は本当は魔女なんかやりたくないの」
レイチェルはそう言ってジャスティスの頭を撫でた。
「私は人間として生きたいのに、魔物狩人がくる。私は死にたくないから魔法を使う。人は私を死を待つ城の魔女だっていうけど、私は殺したくて殺してるんじゃない。あなたは分かってくれる?」
少し悲しそうな笑顔で彼女は言った。どこにでも居る、普通の女の子なのに、どうして魔女だってだけで殺されそうになるんだろう。
「分かるよ、好きで虐められてきたんじゃない。レイチェルに比べたらちっぽけだけど、この髪は好きで銀になったんじゃない。学校に行けば悪魔の子って言われた。髪の色なんか子供の自由になる訳じゃない。だから、たまたま魔女に生まれただけなのに、そんなことになってるレイチェルの気持ちは分かるよ。」
レイチェルは少し嬉しそうな顔で笑って、オレの額に手のひらを向けた。
「いい、消えた記憶を戻すことは私に出来ない。それでもいいの?」
「うん」
オレは頷いて目を閉じた。最後に思い出したのはクライブがオレをからかって笑った時の笑顔だった。
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  四章  クライブ


俺は田舎の町並みを眺めて自由を満喫していた。頭の上に広がる漆黒の夜空に、きらめく星達がゆっくりとダンスを踊っているみたいだった。
ついさっき、気前のいいおっちゃんが俺にテキーラをおごってくれた。夜空の下でゆっくりと味わおうかなと、店の外に出てみたら、空がこんなにきれいだったと初めて知った。  
おっちゃんは中から俺を見ていたから、俺はドアを開けて
「おっちゃん、外に出てみろよ」
と言った。
おっちゃんはビールのジョッキを持ってドアの近くまで来た、外は漆黒の闇に包まれた夜の世界。空にはこんなにたくさんの星がか輝いている。
おっちゃんはうっとりした顔で
「いいな〜、今日は星がきれいだ。」
と言った。俺は外にあったイスに座って星を眺めていた。
 う〜ん、これはジャスティスの母親のウィスキーとは違う。こんなにキツい酒を飲んだのは初めてだ。今まで酔っぱらうほど飲んだことはなかったけど、こんなちょっとの酒で酔ったことはねぇぞ。
しばらくすると、頭がぼーっとして来たので、一旦コップを地面に置いてイスにもたれた。頭が重い。
「おい、クライブ。お前は一体何をしてるんだ」
俺は黙って剣を握った。う〜、飲み過ぎた訳じゃねぇんだけど、戦えるほど頭が冴えてる訳じゃない。この声は多分、ジャスティスと、俺の親父だ。人間なんかと子供なんか作るからジャスティスのお守りをする目にあったんだから、親父のことは無視したい。
「うるせぇんだよ」
「兄貴、コイツが兄貴の剣を持ってたんで」
おいおい、気前がいいと思ったら、睡眠薬盛られてたのかよ!!俺って運がないのかも。 
親父は俺に
「ジャスティスはドコだ、お前はなんでここに居るんだ。」
と聞かれたけど、小さな反抗に顔を背けた。あんまり役に立ってない反抗はあっさり無視されて、
「ジャスティスはドコなんだ、クライブ」
と親父は怒鳴った。
「知るかよ、どこかで死んでるんじゃねぇのか?」
青ざめた親父の顔を見て俺は面白すぎて笑いそうになったけど、笑ったら殴られても仕方が無いので堪えていた。少しにやけてても仕方が無いほどのアホ面だったぜ。
「どうしてお前はジャスティスを置いて来たりしたんだ」
「アイツのお守りはもう嫌なんだよ」
俺はそれだけ言って眠気に襲われて目を瞑った。親父の声だけが耳にこだましてた。俺はイスに身を任せて眠るコトした。
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 五章  ジャスティス


オレはゆっくりと目を開けて起き上がった。近くに子犬が小さく丸まって眠ってる。かわいい顔で寝てるから、オレは起こさないように起き上がって辺りを見回した。
広めの部屋は暖かくて、窓から朝日が差し込んでいた。部屋には明るい茶色の机とイスがあって、白い壁の部屋の中にぽつんとたたずんでいる。
しばらく辺りを見回して、オレは自分の名前が全く分からない事に気がついた。落ち着いて思い出そうとしたけど、何一つ思い出せない事に気がついた。ココがドコなのかも、オレは一体何者なのかも。
太陽はまだ低い位置にあるからまだ朝だってことはすぐに分かったけど、起き上がってドアを開ける勇気がなぜかでなくて外に出るのが怖かった。
とりあえずベッドから出て、ドアノブに手をかけた。怖いけど、ココがドコなのかを知りたい気持ちがあって、逆らえなかった。ドアを開けて、廊下に出てみた。めちゃめちゃ広い家だってことは大体の廊下の長さで分かったけど、ココは学校なんてものよりずっと大きかった。
一旦部屋の中に戻って子犬を見た。目を覚ましそうにないけど、ココに置いて行って大丈夫かな?ただでさえ方向音痴なのに、迷子になったらココに戻って来れないかもしれない。
しばらく考えて置いて行って様子を見てすぐに戻って来ようと思ってドアノブに手をかけたら、突然ドアが開いたからオレは飛び退いた。
「あ、目が覚めてたの?」
オレはとりあえず、女の子が笑ってドアを閉めたので深呼吸をした。今ので心臓が早鐘みたいに脈を打っている。
女の子は優しそうな感じで、オレは落ち着いて
「ココはドコ?」
と尋ねた。少なくともオレよりは詳しいはずだろうし。
「私の家なの、大丈夫?」
「オレの事、知ってるの?」
「うん」
女の子は優しく笑ってオレの肩を叩いた。
「あなたはジェスティス、私はレイチェル。あの子はあなたの犬であなたと同じ名前なのよ」
そう言ってレイチェルは子犬を指差した。相変わらずかわいい顔で眠ってる子犬がオレと同じ名前でオレの犬だったなんてびっくりだった。
「なんで知ってるの?」
「聞かない方がいいわ」
彼女はそう言ってベッドに座った。
「座って」
 オレは大人しく従ってベッドに座った。ふわふわのベッドに眠ってる子犬がようやく目を覚ましたみたいで、オレは黙ってジャスティスの頭を撫でた。気持ち良さそうな顔で幸せそうにしているのを黙って見ていた。レイチェルは黙って笑っていてくれてる、それだけでいいじゃんと思った。
笑っていられる事が幸せだって思える事が本当の幸せなのかもしれない。オレは本当に幸せだって思っていた。ジャスティスを抱きしめて笑って、庭を散歩をしたりして、その日は一日中楽しかった。
外を楽しく散歩しながら、ジャスティスと花を眺めてると、突然見覚えのない奴がオレの前に立っていた。そいつはオレと同じ銀色のさらさらショートヘアで、背が高くて、大きな剣を持った人だった。肩がごっつくて、めちゃくちゃカッコいい人だった。
「ジャスティス、帰るぞ」
「え?」
 オレは子犬のジャスティスを抱きしめて立ち上がった。この家の周りには高い塀があるのに、どうやって入って来たんだろう。
「無理無理、ソイツを連れ出したかったらこうしろ」
塀の上で声が聞こえてオレは顔をあげた。
 そこにはオレと全く同じ顔で同じカッコの男が居て、大きな剣を振り上げた。オレは反射的に飛び退いて近くにあった草刈り用の鎌を握った。なんでこんなコトが出来るのかと少し気になったけど、今はとにかく逃げなくちゃいけない。
ジャスティスは吠えながらさっさと逃げてしまった。オレは仕方がないとあきらめて、ジャスティスが誰かを探しにいってくれたんだと信じる事にした。そんな事に傷ついてる暇があったら捕まる。なぜか、捕まっちゃいけないって、自分の中で誰かが叫んでいた。
オレは鎌を握りしめて辺りを見回した。このままどうにか出来そうにない。せめて時間を稼いでスキを見てなんとか逃げるしかない。家の中にまでは入って来ないだろうし・・・。
オレにそっくりでまだ若い方が剣をオレに真っ直ぐ向けて
「仕方がないから迎えに来てやったんだ。大人しくついて来い」
と言った。オレは
「嫌だ、知らない人について行っちゃいけないって学校で習っただろ?」
と言ってなんとか逃げ道を考えていた。
 どうにか逃げられないかって考えたけど、何も逃げ道がないんだよ。ココには大きな塀と、草刈り用の鎌しかないんだから。
「ジャスティス、一体何があったんだ」
「だから知らない人について行っちゃいけないんだってば」
オレは鎌を握って辺りを見回した。ほうきを握って鎌を投げた。鎌はあんまり気を引く事も出来なかった。オレは逃げ出そうとしてあっさり剣を突きつけられた。ほうきを振り回して抵抗したけど、あんまり役には立たなかった。
オレは腕を捻り上げられて、悲鳴を上げて顔を背けた。しばらくすると、レイチェルとジャスティスの声が聞こえてオレは少し顔をあげた。オレとそっくりな男は怒った感じでもっと強く腕を捻った。
噛み殺した悲鳴が少し漏れて、レイチェルが悲鳴を上げた。レイチェルの友達のメルディが、オレにそっくりなヤツに
「いい加減にしたら?ソイツはアンタがレイチェルに売ったんだ。もう、アンタの兄弟じゃない。」
と言った。
 オレは黙って男の顔を見た。コイツが兄弟?そんなバカなコトがあるワケない。もしあったんなら、どうしてオレにはその記憶がないんだよ。一緒に居た記憶があってもおかしくないだろ?
「俺はこんなヤツ返して欲しくなんかねぇケド、コイツの親父が返して欲しいだってさ」
「いい加減にしな、契約違反だよ」
メルディはそう言って、オレは暴れて抵抗したけど、オレにそっくりなヤツは楽しそうに、もう一人の男の方にオレを引き渡した。
オレはなんとか逃げ出そうともがいてたけど、逃げられずに殴られて気を失った。

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魔女に恋した魔物狩人




 六章 クライブ


俺はため息をついて剣を握った。相変わらず、悪魔は俺を「魔物」と呼んだけど、俺は魔物以外のなんでもない。俺は剣を振り下ろして、悪魔を片付けた。
魔女が泣きながら叫んでたけど、俺には聞こえない。近くで吠えてるジャスティスでさえ、俺を敵を見ていたが、俺はこんな子犬が死んでも何とも思わない。
子犬のジャスティスを置いて、ジャスティスを背負った親父を追いかけて塀を上った。

家に帰ってくると、ジャスティスも目を覚ましたらしい、俺は構わず脱走を試みて、魔物除けの結界が張ってある事に気がついてあきらめた。どうせ、あの魔女のババアが勝手に貼ったんだろう。俺は魔物として結界の中が嫌いだし、閉じ込められてる気がして嫌いだ。
ジャスティスは記憶がないらしく、暴れて脱走を試みてあっさり捕まった。相当参ってるのか泣きじゃくっては暴れてばかり。とうとう眠らされて、部屋に監禁されちまった。アイツは脳みそがないのか?
俺はずっとジャスティスの見張りをさせられたから、ジャスティスの部屋から聞こえてくる、噛み殺した泣き声とか嗚咽とか、全部聞こえてた。ジャスティスはそのうち泣きつかれて寝たみたいだったけど、少なくとも三時間は泣いてたぜ。
その日の間中、親父はババアと話しこんでたから、俺はずっと部屋の前で剣を抱いて座ってただけだった。暇だったぜ、なんせ話しをする相手さえ居ないし、やる事がないから本を読みたくてもその場を離れられなかったし。
真夜中に、誰かが来たから俺は顔をあげた。親父とババアがそこに立っていた。本当は寝たかったんだけど、ジャスティスの見張りだったし眠れなかった。俺は月を眺めて少し考えてた。
俺はどうしたいんだろうか、ココから逃げ出して新しい体を見つけて自由になって、それからどうしたいんだろう。俺は魔界に帰る事も出来ない。魔界がドコにあるのかも知らない、人間界生まれの人間界育ちのヴァンパイアだぜ?魔界なんかに行ってやっていける訳がない。行く当てもないのに、ココから出て行ってどうしたいのかも分からないのに、出て行かない方がいいのかもしれない。
親父が俺を引っ張って立たせて
「クライブ、もう部屋に戻っていい」
と言った。俺は剣を親父に突き出して
「返す」
と言った。
「いい、もう使わないからあげよう」
親父はそう言って笑った。俺は良く分からなかったけど、剣を持って部屋に帰った。部屋が妙に暗くて、ジャスティスも居ないからベッドに寝て、目を瞑った。

翌朝、俺は誰かに口を塞がれて目を覚ました。
「クライブ、静かにしろ」
ジャスティスにしては落ち着いた低い声で俺はびっくりして顔をあげた。そこに居たのは確かにジャスティスでいつもと違う、真っ直ぐな目を俺に向けていた。
ヤツはいつもと同じのほほんと優しい目をしていたけど俺を眺めていたけど、突然アイツとは思えない力で思いっきり俺を殴りやがった。俺はびっくりしてベッドの上で黙って顔をあげた。
アイツは泣いていた。俺の目の前でボロボロと泣きながら
「なんで売ったりしたんだよ?」
と言った。俺は大人しく座って、ジャスティスの頭をぽんぽんと撫でた。ジャスティスは俺の手を払いのけて、嗚咽をあげながら涙を拭った。
「ジャスティス、俺は」
 俺は少し、ジャスティスを売った事を後悔した。コイツは元々こういうヤツで、俺の事を弟だって思い込んでたバカやろうなんだし、捨てるべきじゃなかったのかもしれない。
「なんで黙ってたんだよ」
 ジャスティスは俺を殴って言った。俺はジャスティスの拳をかわして
「何を?」
と尋ねた。ジャスティスが思ってたより、力がある事にも気がついたから、殴られたらちょっと痛い事に気がついただけなんだけど。
「クライブがヴァンパイアだった事とか」
「仕方ねぇだろ、言ったってお前は俺を弟だって思い込んでたんだから」
ジャスティスはベッドの上に座り込んで泣いた。俺はどうしようもなかったから、黙ってジャスティスの頭を撫でた。ジャスティスは泣きじゃくっていた。あんなに泣いてる所は見たことがなかった。ジャスティスは壁に立てかけておいた剣を握って
「クライブ、逃げるの手伝ってくれる?」
と言った。さっきまであんなに泣いてたのにジャスティスは強い目で俺を見てた。
「ジャスティス?」
「どうしてもココにはいたくない」
「分かったよ、手伝ってやる」
ジャスティスは笑って頷いて、剣を握った手に力を込めた。俺は黙って立ち上がって、ジャスティスの背中をそっと押した。コイツと一緒に逃げて、途中で見捨てちまおう。(悪) 
ジャスティスは笑いながら俺の前を嬉しそうにしながら走っていった。ジャスティスは本当にガキなんだから、仕方がない。我慢して、しばらく一緒に居てやるか。俺は見捨てる気満々で駆け出した。
ジャスティスは剣が強い。ただ、虫も殺せないようなヤツだからルールのもとでしか戦う事も出来ない。アイツはケンカもしないし、争いほど嫌うものがない。
俺はそれを利用する事にした。コイツはいくらでも利用が出来る。途中でまた捨てて逃げて、新しい宿主を探してやる。どんな事があってもだ。
ジャスティスは楽しそうに笑っていた。俺の考えてる事さえ分からないようなヤツはさっさと見捨てるに限る。逃げ出せたらさっさと見捨ててやる。
ジャスティスは窓の外に出て、ババアが書いたらしい魔法陣を消した。アイツ、頭だけはいいな・・・。俺はアイツの後ろを追いかけようとして、突然ジャスティスにぶつかった。なんでかと思って顔をあげたらジャスティスは立ち止まって、手錠を俺の手首にしっかりつけていたからだ。
ジャスティスはにっこりと笑って
「逃げるな」
と痛いほどの笑顔で笑った。俺は少しだけ泣きたくなった・・・。
ひたすら走って、やっと森を抜けるとあの時の城があの時と変わらずたたずんでいた。俺は黙ってジャスティスに引っ張られて城の門をくぐった。
あの悪魔が現れて
「もどってきたの?」
と笑って言った。俺は手錠をぐいっと引っ張ったけど、ジャスティスには完全に無視された。悪魔が楽しそうに笑って
「ねえ、分かってる?アンタはそのヴァンパイアが居なかったらもうじき死ぬ。体が弱い事に気付いてた?」
と言った。ジャスティスはうつむいていたけど、
「そんな事どうだっていい、オレはココに居たいんだ」
と言った。
 オレは黙ってジャスティスを見ていた。ジャスティスはいつもとは全く違う、強い瞳で悪魔を見ていた。悪魔はジャスティスが気に入ってる訳じゃなかったのかもしれなかったのだけれど、魔女を呼んだ。ジャスティスは少し嬉しそうに笑った。
ジャスティスは楽しそうに笑いながら魔女に笑った。魔女の手には子犬のジャスティスがいた。ジャスティスと、子犬のジャスティスは嬉しそうに抱き合って(?)
「会いたかった〜」
と嬉しそうに笑った。オレはジャスティスに引っ張られて、ため息をついた。
「ソイツ、連れて来たの?」
「レイチェル、オレはクライブに体を返さなくちゃいけないのかな?」
悪魔は笑って
「返しても、私みたいに生きる事は出来るけどね」
と言った。ジャスティスは少し悲しそうな顔で
「クライブと一緒に居たいんだけど、クライブは出て行きたいんだって」
と言った。俺は黙って顔を背けて
「もう二度とテメェなんかと居たくないね」
と言った。ジャスティスは少し悲しそうな顔をしていた。
俺は黙ってジャスティスから顔を背けた。ジャスティスはあきらめたのか
「体、返さなきゃいけない?」
とつぶやいた。
「ジャスティス、俺はお前の兄弟じゃない。お前は俺だ。体を返すもクソもねぇんだよ。」
俺はそう言ってジャスティスに背を向けた。ジャスティスは少し思い詰めてるみたいだったけど、俺はそんな事どうだっていいから黙って顔を背けたままで居た。
ジャスティスは突然、俺の肩を叩いて
「クライブ、体を返したらオレは居なくなるの?」
とつぶやいた。
「はあ?」
「意識がなくなって、死んじゃうのかな?」
「知るかよ、でも今までそうだったんだからそうなんじゃねぇか?」
俺はそう言って手錠を引っ張った。ジャスティスは寂しそうにしながら
「クライブ、体返した方がいいよな」
と言った。俺は黙って頷いて手錠を引っ張った。俺はヴァンパイアだし、腹減ったからって我慢出来るようなモノじゃねぇ、ああ〜血が飲みてぇ。
ジャスティスは
「もう少し待ってくれる?」
と少し悲しそうな顔で言った。俺は仕方がないから手錠を引っ張って
「その前にはずせ」
と言ってからジャスティスを睨みつけた。
ジャスティスは大人しく、ポケットから鍵を出して手錠を外した。俺は手首をさすってその場に座った。ジャスティスは寂しそうに魔女と悪魔を見た。俺には何が言いたいのか分からなかったけど、ジャスティスは黙ってしばらく眺めてたけど、突然振り向いて俺を真っ直ぐ見て
「クライブ、体返す」
とつぶやいた。
「いいのか?お前の自我は死ぬんだぜ?」
ジャスティスは黙って頷いて、ギュッと目を瞑った。俺はジャスティスの頭をぽんぽんと撫でたけど、少しかわいそうになってきたけど、体を返して欲しいのは本心だし、あきらめるつもりはない。
体に戻りたいから、小さく呪文をつぶやいた。ジャスティスはかなりビビってるみたいで、目を開けようともしなかった。                
ジャスティスの体を借りはするけど、体の外で暮らしさえすればアイツは自我を失うコトはない。俺は体なんてなくたって上手くいく。ジャスティスは呪文をつぶやいた事にさえ気がついていなかったのか、目を開けて
「クライブ?」
と不思議そうに顔をあげた。
「もう終わったぜ」
俺はそう言って笑った。こんなヤツだけど、仕方がない。もうしばらく仲良くしてやるか。
これまでも兄弟だったんだ、もうしばらく一緒に居てやってもいいか。俺はジャスティスのそばに居てやれる、唯一のヤツなんだし。
ジャスティスは嬉しそうに笑って俺の肩に顔をくっつけた。ジャスティスは笑いながら泣いていた。ヘンなヤツだなと言いながら俺は少し笑った。いつの間にか、コイツが居なかったら少し寂しい気がするんだよな。
ジャスティスは笑って子犬のジャスティスを抱き上げた。俺は子犬のジャスティスの頭を撫でて、少し笑った。幸せそうに笑うジャスティスを見てるのが幸せだった。
ジャスティスと魔女は仲が良さそうだった。俺は子犬のジャスティスを撫でてる事しかできなかった。魔女はジャスティスと並んで何かを話してた。俺は良く分からなかったけど、仲良くジャスティスと話をしていた。
ジャスティスは魔女としばらく話をしてたけど、突然立ち上がって
「行こう」
と言った。俺は黙って子犬のジャスティスを抱き上げてジャスティスの後ろを追いかけた。魔女というイメージとは全く違って俺は少しびっくりした。ぱっと見てただの女の子だし。
俺は黙って歩いて付いて行ってたけど、彼女は少し嬉しそうに笑った。
「ねえ、本当に私も行っていいの?」
彼女はそう言って俺とジャスティスの顔をじっと見つめた。俺は黙って頷いた。コイツは何を言って反対しても仕方がないからな。黙って見ててやるしかない。誰よりも俺がその事を良く知っている。
魔女は家(いや・・・城か?)から大きな絨毯とカバンを持って出て来た。魔女は笑って絨毯を広げると、
「乗って下さい」
と笑った。俺は黙ってジャスティスを見てたけど、ジャスティスは楽しそうに笑いながら俺の手を引いて絨毯の上に座った。絨毯は少し、浮いていて、座った時に気がついた。少しふわふわしていてびっくりした。
俺は少し楽しそうに座ったままで、子犬のジャスティスを抱きしめていた。俺はジャスティスと違って高所恐怖症なんだから、屋根より高く飛ぶな!!俺は一度、ババアの魔法の絨毯に乗った事があったけど、ジャスティスの肩に抱きついて、地面に降りるまでずっと目を瞑ってたんだぜ?やめてくれって〜の。    
魔女は構わず空高く、絨毯で舞い上がった。どこに行くのかは分からない。でも、遠くの空で太陽が輝いていた。


        fine
| リレー小説 魔女に恋した魔物狩人 | 16:40 | comments(0) | - |
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