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スタートリガー3

JUGEMJUGEMテーマ:小説/詩

「で、隠そうとしたって訳か?」


支部長は俺とdanteにそう言った。

暖房が効いてる喫茶店の隅っこで、支部長は苦そうなブラックコーヒーをひたすらすする。いつもと同じ優しい顔やけど、多分怒ってるんやと思う。今日はいつもより静かやし、黙ってる。不機嫌らしいのは分かる。

danteがもう温ぅなったプリンをつつきながら頷く。

前世はきっとおじゃる丸のdanteがなかなかプリンを食べへんからには、ホンマに支部長は怒ってるんやろ。じゃなかったら一日に四回もプリン休憩しよるdanteがプリンを目の前に食べへんなんてあり得へんもん。きっと支部長と付き合いが長いdanteには分かるんやと思う。

俺は紅茶をすすって、俯いたまま黙っとった。

元を辿れば俺が悪いんやけど、こういう時はdanteに任せるのが一番やから。

支部長のお気に入りやし、支部長もdanteの説明はきっと黙って聞く筈やもん。

ゆりは紅茶をすすりながら、どうしたもんかと困り顔や。

当然やけど、ゆりは初対面の支部長をまたスケ子さんでぶん殴ろうとしたぐらいやから、信用はしてへんねやろ。全くと言ってええくらい口も開かず黙ってる。まあ、追手にも見えたししゃーないよな。

「ルノはともかく、danteは私がそんなに信用出来ないのか?」

支部長はそう言って、danteを見つめた。

優しい口調やけど、これはもうどう考えても支部長怒ってるわ。

それも何故か俺らやなくて、何故か一番悪くないdanteを集中的に。

でも今俺が口を挟んだら、今度こそ鼻の骨がバキバキになるで。

「そんな事あれへんけど、でも」

「でもじゃない。お前はアホか?」

支部長はdanteにそう言って、またコーヒーをすすった。

「心配しなくても、事情さえ分かればどうにかしてやるに決まってるだろ?」

そして俺とゆりを見ると、優しく言った。

「極秘にはなるから、誓約書は書いてもらうがルノを転校させたりしない。安心してくれ」

相変わらずプリンをつついてたdanteを見下ろして、早く食べろと囁いた。

「なあ支部長。danteは悪ぅないから怒らんとってぇや」

「誰も悪くないのは分かってる。ただ、danteが相変わらず信用してくれてないのに腹が立っただけだよ」

「それ怒ってるやん」

やっとプリンを食べだしたdanteを見下ろして、支部長は呟いた。

「そうかもしれないな」

ゆりがちょっと羨ましそうにプリンを見るから、頼んだらと俺は囁いた。

ゆりはいらんよと答えて静かに支部長を見た。

「うちはどうしたらええん?」

「そうだな、とりあえず支部で簡単な誓約書を書いてもらえたらそれでいいよ。迷惑をかけたね」

やっぱり優しい支部長はそう笑ってみせると、俺を見た。

「とにかく無事で何よりだ。ところで帰りはどうする?」

「帰り?」

「danteはバイクで出て来ただろ? ルノとゆりちゃんは私の車に乗ってくか?」

そこで何故かdanteが立ち上がる。

おかげでプリンが大きく揺れて、カラメルが垂れた。

「オレ、一人で帰んの?」

「仕方がないだろ? お前の運転荒いから、私の車は運転させたくない」

支部長はいたって真面目にこう答えた。

流石に俺は支部長に同意。運転はともかく、あんな真っ赤なバイクにスーツで乗るのは嫌やで。どんな格好してても、あれは流石に恥ずかしいで。ゴツイし赤やし、めっちゃ目立つもん。

「酷いってジェームズ! オレそんなに信用出来ひんの?」

「それは私のセリフだろ? 一人で帰れ」

支部長はきっぱり言い切ると、俺を見た。

「なんならルノかゆりちゃんを後ろに乗せるか? どっちにしたって一緒だろ?」

そしたら嬉しそうな顔をしてゆりが手を挙げた。

「あ、うちdanteの後ろが良い!」

「はあ?」

支部長が真顔でゆりを見つめた。

きっとゆりはdanteのバイク見てへんからやで。あれ見たら乗る気ぃせんで。あれは悪趣味の域やもん。正直、あれはオーランド・ブルームとかが乗らん限り、誰もカッコええと思わへんで。

「うちバイク乗った事あれへんねん! 乗してぇや」

「ゆり、赤やでやめときぃや。恥ずかしいで」

俺はゆりにそう忠告して、支部長を見た。

支部長も唖然とした顔をして、俺を見ていた。多分俺と同じようにdanteのバイクが悪趣味やと思ってるに違いないわ。

「ええやん。ルノ、うちのスケ子さん頼むで。dante、乗せてくれるやろ?」

「もちろん。でもええの?」

「もちやで!」

元気良く笑ったゆりを見て、支部長は立ち上がった。

俺は急いで支部長を追いかけた。

「支部長、俺が出すよ」

「何言ってるんだ? まだ学生だろ? 大人しく奢ってもらっとけ」

支部長はそう言って、カッコよくクレジットカードを店員に渡して外に居ろと笑った。

やっぱりこの人、頼りになるなって心から思った。
 
| スタートリガー社の工作員達 | 20:06 | comments(0) | trackbacks(0) |

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